歌集「短き歌に戯れて」

ふと立ちどまり


・(2016.01.28最新追加)

○窓から梅雨空を見ながらふと「ときは今 天(あめ)が下しる五月哉(かな)」と
 明智光秀公の名句が泛かんだのでその語調に魅せられて

見渡せば 雲切れ間なく 空を恋ひ 雨ぞひた降る 文月(ふづき)かな   <2015.7.5>

 

○国歌「君が代」を歌うときの私の心持ちを顧みて

敷島の 民草の葉の 靡くらむ 天皇(すめらぎ)御座(おわ)す 大和の微風(かぜ)に <2015.3.12>

 

○ちょっと離れた図書館に初めて行ったとき訪れた近くのカフェにて

芝蒼き 広場のカフェに 豆乳の 泡だつホット・カプチーノ 喫む   <2014.9.29>

 


・(2014.8.25追加)

○広島土砂災害(平成26年8月20日発生)の被災の様をテレビ報道で見て

天は割け 闇夜を穿つ 瀧の雨 裾野に逝きし 御霊安かれ   <2014.8.23>

 

○69年目の終戦の日、寝覚めた朝に感じた歴史は繰り返すという一抹の不安に動かされ

時めぐり 今年も来(きた)る 終戦の 苦境を肌身に 感じる朝(あした)   <2014.8.15>

 

○大河ドラマ「軍士官兵衛」で、小牧長久手の戦いで徳川家康に大敗した雪辱を期そうとする
   主君秀吉を諌めた黒田官兵衛の言葉に感じ入って

家康と いま戦うは 愚の骨頂! 勝てぬ戦(いくさ)を 止めるも軍師   <2014.8.11>

 

○太平洋に注ぎ込む日向の大河の河口付近を訪れたとき

浅川の 梅雨の晴れ間の 河原にて 釣りに興じる 爺と孫かな   <2014.6.28>

 

○夜明けの微睡のなかで浮かんだ思いをとらえて

我もまた 「遊びをせんとや生まれけむ」 古人(いにしえびと)の 思いを享けて   <2014.6.11>

 


・(2014.5.12追加)

○哲学風味の歌を詠んでみたくなり

過去は足 元に畳まれ 未来“此処” 依り“其処”に 踏み出すに有り   <2014.5.11>

求め愛〔会ひ〕 絡み愛〔会ひ〕つつ 鬩ぎ愛〔会ひ〕
          一夜〔人世〕の逢瀬〔負う背〕 人性〔人生〕ならむ   <2014.5.11>

 

○ふと空を見上げたときに目に飛びこんだ二景から

うす絹の 雲を貫く あの細き 飛行機雲に 吾もなりたし        <2014.5.10>

見上ぐれば 頭上遥かに 鳥の舞ふ 翼の一羽 吾が胸に墜つ        <2013.11.3>

 


・(2013.10.31追加)

○今上天皇が熊本に行幸された折り、皇后陛下から「くまモンはお一人でやっているのですか?」と
  御言葉をかけられたゆるキャラ・くまモンの心情を慮って

皇后の 問ひにくまモン 会話せば ゆるキャラ枯れなむ せずば不敬に   <2013.10.28>

 


・(2013.10.8追加)

○APEC国際会議場でアップに映しだされた、アベノミクスともてはやされる人の顔を見て

嬉々として 安倍呑み尽くす 神無月 危機も漏れ見ゆ 鬼気孕む眼に    <2013.10.7>

 

○原子炉暴走事故の終わりなき脅威のまえに立ち尽くして

セシウムの 水と知りつつ 飲む吾も 知らで飲みける 君も哀しき     <2013.9.16>

終わりなく 湧き出(いづ)るなり 放射能 水に大気に 大地に人に    <2013.9.16>

 

○中東シリアの惨状をテレビ映像で目にして

止め処なく 血を吸い尽くす 沙漠かな 無辜の命の 地に斃れなば     <2013.8.26>

 

○命が蒸発するほどの暑さに喘きつつ

炎炎と 世間を焦がす 猛暑やな       <2013.8.14>

 


・(2012.2.3追加)

○初雪の冠した登園の情景を書いたある方のブログ日記を読んで

ゆうくりと 手を取り歩む 母と子の 雪踏む途の 愉しかるらむ      <2012.1.25>

  

~ちなみに、上掲の歌を現代語スタイルに変えて~

手をとって ゆっくり歩く 母と子の 園までの道 楽しそうだな      <2012.1.25>

 

○年の瀬に贈ってくれた餅を有り難く食しているとふと故郷を思いだし

鰹節 削るが如き 黴餅の 臭ひ悲しや 遠き故里      <2012.1.10>

 


・(2009.11.19追加)

○ある聡明な女性キャスターからイメージを得て(その3)

愛こそは 一つに成りて 与え合ふ 永久(とわ)の命と 汝(なれ)教えけり  <2009.11.2>

希望(ゆめ)叶ふ 君の未来に 青き薔薇 贈り届けむ 夢想(ゆめ)を束ねて  <2009.11.10>

 


・(2009.9.11追加)

○ある聡明な女性キャスターからイメージを得て(その2)

晴れやかに ひたむきに汝(なれ) 咲き出づる 無垢の皓(しろ)さぞ 柏葉紫陽花

空の樹の 景に変じて 離(か)れむとす されど想ひは 深く根差して

原点に 還りて走る 鈴音娘と 伴に走らん 息はずませて       <いずれも2009.9.11>

 

○望みは消えて

わが子とぞ 思ひてメール 待ちぬれど 言の葉落ちぬ 秋の日暮に  <2009.9.10>

まだ親子と 真に思ひて 生きたるも 遥か以前に 元親子とは    <2009.9.10>

 

○一年間住んだ部屋を去るに当たり

いつになく 賑わしく萌え 上がりける 隣りの園の 華の童子(わらべ)よ  <2009.7.13>

 


・(2009.4.15追加)

○ある聡明な女性キャスターからイメージを得て

永久(とこしへ)に 愛のままでと 吾が媛の 希ひ護らん 衛士(えじ)にしあれば

幸薄き 顔と羞じらふ 素っ嬪も 麗しき哉 萌ゆる頬笑み

「迎春」の 麗筆壁に 貼りて観る 鈴音娘の雅号(な)に 想ひ馳せつつ
                  (注) ご本人の雅号とは異なります

   <いずれも 2009.4.15>

 


・(2009.2.27追加)

○二十歳の誕生日を言祝ぎて

生(あ)れしより 二十路(ふたそじ)満てり 梅匂ふ 今日の佳き日の 有り難き哉
                                   <2009.2.27>

 


・(2008.11.24追加)

○9月、10月と相次いで他界した父母の冥福を祈って

我が父も 母も去りにし 山里の 小春日和の 空澄みわたりけり     <2008.11.12>

十八の 春まで過ごせし この家も 独り褥(しとね)の 旅の宿かな   <2008.11.12>

はらはらと 舞ひ墜つ秋の 落葉の 如くに逝ける 我が父と母      <2008.11.12>

両親(ふたおや)の 死に目に会へぬ 親不孝 恕し給へと 祈る墓前に  <2008.11.12>

父母ともに 逝きて還らぬ 現世(うつつよ)に 吾漂ひぬ 浮草のごと  <2008.11.18>

 

○納棺師を題材にした映画「おくりびと」の脚本家、小山薫堂氏のインタビュー記事に触発されて

玉響(たまゆら)の いのち離(か)れなむ 吾がひとの 御魂彩る おくりびと哉(かな)
                                   <いずれも 2008.10.12>

 


・(2008.9.9追加)

○平成20年元旦 老いたる父母によせて

凄まじく 老いさらばへし 吾が父と 供に迎えし 元旦の朝

アパートに 来たりて 二月(ふたつき)過ぎんとす 子の身を削がす 老残のひと

好物の 鮨を食せる 吾が母の 塞がりゆきぬ 細き喉もと

久々に 帰りて見れば 蒼々と 母の死を俟つ 母屋の畳

 

○お天気キャスター(当時)のまこさんに

水無月の 汝生(なれあ)れし日を 言祝(ことほ)ぎて
             汝が家(ながえ)に飛ばす 赤き風船       <2007.6.7>

 

○2007年(平成19年)の鹿児島旅行の折りに

溶岩を 穿ちが如き 松の木々 抱(いだ)きて聳ゆる 桜島かな       <2007.4.15>

南海に 開けし港 潮満ちて 南風(はえ)ある郷(さと)ぞ 汝住みし街   <2007.4.15>

 


・(2003.12.28追加)

○平成14年(2002年)の歌

剪定の 鋏もつ手を叱る義父(ちち) 人目なければ 有り難けれど  <H14.8.9>

大道(おおみち)の 漁港の波の ざわめきて 
          船交々(こもごも)に 身を揺らすなり     <H14.11.25>

爛漫に 笑える君の 眩しさに 胸ときめかせ 微笑み返す      <H14.11.26>

狂ほしき 疾風怒涛の始まりぬ 壁彫る筆の 堅きに圧され      <H14.11.26>

 

○平成13年(2001年)の歌

二年(ふたとせ)も 過ぎし彼女を
          代々木にて 想ふ吾なり 独り寝の日々     <2001.5.24>

 

○平成12年(2000年)の歌

いくたびも 汝が名を呼びし 独り寝の 我が身の雫 汝に宿らめ   <2000.8.7>

二十年(はつとせ)も 離れし汝と この吾と
           倶に歩める 途なかりしや          <2000.8.7>

 

○平成11年(1999年)の歌

精霊(しょうろう)の 如く届けむ 恋の灯よ
           浪立つ胸に ゆらゆらと揺れ         <H11.12.8>

幾度も 辞世の歌を 詠みたれど 是ぞ最後の 歌となるらん     <H11.12.11>

此の菊池 街道の奥に 聳えたる マンタの如き 八方ヶ岳よ     <H11.12.12>

(※)八方ヶ岳の山頂は「マンタ」よりも「エイ」のように尖って見えることが作歌時より気になっていたため以下のごとく差し替える。<H16.8.10>

此の菊池 街道の奥に 聳えたる 巨エイの如き 八方ヶ岳よ     <H16.8.10>

父の愛 育ての母の 愛ほどに 我が愛深く 君に捧げん       <H11.12.13>

 


・(1999.11.28追加)

○1999.11.22 鞠智城に寄せて

城北(しろきた)の 父母に見(まみ)ゆる 途すがら
          想ひ巡らす 古(いにしへ)の城

鄙里の 八方ケ岳を 見遥かす
    米原長者(よなばるちょうじゃ)の 夢の跡かも

少年の日に 米原(よなばる)に 遊ぶれば 友囁きぬ 城埋もれしと

三十年(みそとせ)の 余りを過ぎて佇めば
           畠(はた)に萌え出づ 鞠智城かな

天皇(すめらぎ)の 行幸賜ひし
          米原(よなばる)の 古代の城に 命宿らむ

 

○1999.11.19 高森への出張の帰りに

高森の 駱駝の山に 小春陽の 微笑みかけし 君の如くに

眸(め)を遣れば 天を刻める 根子岳の 峰に染み入る 秋空の青

高森の 鄙を抱(いだ)ける 大阿蘇の 山裾にこそ 神ぞ居まする

 

○1999.11.10 天水町小天にて

小春日の 陽光(ひかり)燦々 注ぎたる 蜜柑の丘の 麗しきかな

天水の 蜜柑の丘も 色づきて 秋の恵みの 陽射し眩しき

有明の 海を見やれば 超然と 普賢の岳の 巓(いただき)聳ゆ

中空の 蜜柑の里ぞ 天水の 小天(おあま)を愛でし 暑き小春日

 

○1999.10.23 天皇(すめらぎ)三首…くまもと未来国体開会の日に

天皇(すめらぎ)の 御幸居ませる
          火の國の 秋も豊潤(たわわ)の 日本晴れかな

陽光(ひかり)満つ 肥後の大地に
          天皇(すめらぎ)の 御幸賜ひし 秋の祭典

観覧席(スタンド)に 御幸坐(ましま)す
           天皇(すめらぎ)を 身に感じつつ 受付をせり

(※)「天皇」の読みのうち「すめらぎ(すめろぎ)」は皇祖皇統のニュアンスが強く、御身については「すめらみこと」がより正しい用法のようですが、作歌時点では不勉強であったため「すめらぎ」の読みにて。<H16.9.18>

 

○1998年(平成10年)に詠んだ残りの八首

この夏も 蝉時雨降る湖の
     畔(ほとり)を急ぐ 朝の自転車    <平成10年8月3日>

庭先の 草をむしれば
    柊の 枯れ葉の尚も 吾を刺すなり    <平成10年7月5日>

即興に 詠ひし
    言の葉も枯れて 夢と散りなむ 哀の色調 <平成10年5月12日>

輝ける 白木蓮の 花弁の
    蒼穹(そら)を慕ひぬ 鈴生り咲けば   <平成10年3月31日>

見上ぐれば 父母も妻子も 兄弟(はらから)も
      春を向かえし 木蓮の花       <平成10年3月31日>  

細君に 稚(わか)いと云はれ
    団欒の 寄る辺なきかな 四十二なれば  <平成10年3月18日>

十年(とおとせ)の 睡り醒ませし
    彼の人の 寒きを払ふ 火とならまほし  <平成10年3月17日>

二の丸の 弥生廿日(やよいはつか)の
     桜花 何を急ぎて 咲き染めたるや   <平成10年3月17日>

 


・(1998.5.24追加)

 しづしづと流るる玉川上水を 歩けば優し 朝の木漏れ陽

 早朝の掘りを伝ひて歩きゆく わが蹠(あしうら)に柔き腐葉土

 上水の架橋に立ちて見おろせば たもとに寄りし 錦鯉かな

 土柔き濠を伝ひて上水を 歩けば優し 朝の木漏れ陽

 清廉の流れを深く直くもつ 緑の帯に我もなりたし

 彼の人の逝ける玉川上水の 冥(くら)き繁みは何処に消えし

  ※ 98/5/22早朝 東京小平の玉川上水にて
 


・(1998.3.16追加)

 待ちわびてただ涙せり 深雪野(みゆきの)の
            小枝に円(まろ)き 生命萌せば  <H10.3.7>

 愛恋の炎に灼くる夜の夢 身は識らざれど軆火照りて    <H10.3.7>

 湯煙の君結ひあげし後れ毛の 朧に残る姿愛(かな)しき  <H10.3.7>

 暁の十里の路をひた走る 古里に臥す母の居ませば     <H10.3.7>



・(1998.3.1携出)


 お仕事を 手伝うこの手は 「猫の手」と
      言ひて笑ひし 放課後の君           <H10.2.3>

 春一番 吹いて浪立つ 江津湖かな           <H10.2.10俳句>

 死の床に 臥しても生きんと なお思ふ
      最後の一葉 まだ落ちざれば      <H10.2.7辞世の歌・>

 寒風の 江津湖の塘(とも)は 夕暮れて
     精霊(しょうろ)のごとく揺れる灯火        <H10.1.23>

 かくて朝 暗き道往く 故郷の
      近くて遠き つづら折りかも          <H10.1.10>

 


火の君の華


・(2008.9.9追加)

○タイ旅行の折りに

汝生(なれあ)れし 水無月の日に 吾発ちて
          汝が方(ながかた)を見る シャムの空から    <2007.7.1>

 


・(2003.12.28追加)

○2003年(平成15年)の年の瀬に

初めての メール送りし 卯月依り 月日巡りて 年は暮れなむ     <2003.12.24>

言の葉の 乱れし色ぞ 我が濁り 年の瀬の今 滌(あら)ひ流さん   <2003.12.24>

さり気なき 親しみ罩(こ)めて 見(まみ)えたし
          新たなる年 迎えし後(のち)も         <2003.12.24>

 

○南阿蘇のグリーンロードの初車走を思い出して

新しき 道を走れば 早春の 葉簇(はむら)も白き 名残雪かな    <2003.12.18>

 

○2003.10.3 夜の走車

宵闇の 路傍の植樹に 帯をなす 音ぞ妙なる 蟋蟀の道

仮初めの 近しき日々も 黄昏れて 言の葉も枯れ 君は離(か)れなむ

 

○03.08.27 眠れぬ夜に

群青の 金属質の 耀(かがや)きに 火の君の華 咲き匂ふなり

蔦の葉の 勁(つよ)く絡める 洋館の
     ベージュの壁に 陽光(ひかり)滲(し)み入る

気がつけば 十数米(メートル) 隔て居て
      倶(とも)に起居せリ 汝(な)が面影と

三年(みとせ)前 初めて君を 見し時の 思ひは今も 変はることなし

 

○2003.8.12 香港にて

香港の 熱き陽射しの 眩(まばゆ)さに 想い起こせり 君の微笑み     

我が想ふ 人は眉目秀麗の 今や博士と 成り給ひけり 

 

○2003.7.24 11階の徹夜の仕事場にて

星屑の如き灯(あかり)を鏤(ちりば)めし 高き庁舎の窓一面に     

深き夜(よ)になお輝ける街灯(まちあかり) 光たどりて我が家探さん

狂おしく雨降りゆきて静寂(しじま)なり 愛しき人の寝息聞こえむ

 


見あげた空


・(1998.3.1携出)

 早春の煌めきを我が歌に罩め 君に贈らん 陽春(はる)俟つ君に

 江津塘(えづども)の 上にひんやり 十三夜
            遠くに白く 阿蘇を照らして

 朝焼けに大阿蘇の嶺輝けば 心遥かに君を思へり 

 妖精の棲む雪国に別れ告げ 明日は舞い発つ 日向の空へ

 夕焼けを見つめて彼と佇めば 吾は君なり 君は吾なり

 白壁を伝ひて繁る蔦の葉に 今日の終りの想ひ託せり

 愛(は)しき児と 愛(いと)しき彼と もろともに
          愛してゆかむ この空の下

 


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