天皇制下の実効支配原理

>いのさんへ

 いまぼくは、古くて新しい「天皇制」の解釈とその機能分析 (とりわけ問題点の摘出)について、作業をすすめています。天皇制が、日本という国の特殊性の基礎をなしているのは疑いようがありません。日本教は神なき人間教の世界ですが、現代日本における天皇制は、善かれあしかれ社会規範のスキームを形作っている「匿名」の統治システムです。ウォルフレン教授の言う「システム」とは、究極のところでは、天皇制という統治システムにたどりつくのです。これについては、これから自分なりに明確なものにしていきたいと思います。
 とりわけ、現代日本社会の病根を支えているのは、とりもなおさず、現行の「象徴天皇制」による暗黙のかつ中心が空洞化した統治システムの弊害によるものなのです。しかし、ぼくはここで浅はかにも、「天皇制を廃止せよ!」などと妄言を吐くつもりはありません。天皇制にはつねに功罪が同居しており、現代のこの隠然たる低迷には、罪(ざい)の部分が深く関与していると思うのです。
 その理由は、中心の空洞化した統治システムは、それ自体は統治に対して無責任であるために、かならずその周辺に実体的な権力を握る集団が存在し、これらの内部でつねに激しい権力闘争が繰り返されますが、彼らはもっぱら私利私欲によって権力を掌握しているにすぎないため、ここでも、結局のところ統治に関しては無責任なままです。さらに悪いことに、この淫靡な権力闘争の裾野では容易にアンダーグラウンドな勢力と結びついてしまうという弊害を有しており、実はその悪弊自体をこの統治システム(「象徴天皇」という無責任な存在)が助長してしまうという皮肉な関係にあるのです。
 ご存知のように、日本経済の長期低迷と国としての実質破綻の状況は、一口で言えば、このアンダーグラウンドな勢力へ資金を垂れ流した結果であり、見かけだけの資本主義による日本型マフィア(ヤクザ)経済のとてつもなく貪欲な資産奪取に、政府自らがいまなお無責任に手を貸し続けていることの現れなのです。自浄能力に欠けたこの国の末路は見えています。末期ガン患者のたどる悲辛と同型であり、逃れる術はありません。
 日本における集団主義のエトス、実体語と空体語を載せた天秤の社会、「システム」の型枠が「無責任象徴天皇制」にほかならない世界。これらはすべて同じ「実体」を角度を変えて観た際の言い換えに過ぎません。そしてこれらは、いつも言っているように、数理的に表記可能です。これから本格的にその作業にとりかからねくてはなりません。
 ところで、補足的に言いますと、実体語は欲望・動物的生理的欲求そのものの記号化であり、空体語は理想・理念を記号化したものであり、ホンネとタテマエの図式化に他なりませんが、さきほどの例でわかりやすく説明すれば、実体語=欲望であり、この国を取り仕切るライオンの一群とハゲタカ・ハイエナどもであるともいえます。また空体語は、象徴天皇制による「美しい国ニッポン」という図式になり、これらふたつの「語」が「世間」という天秤皿に載っています。
 そして「人間」が「自然」の台座に立って支柱となり、片方の皿の上の「語」が大きくなるたびに、天秤がひっくり返らないようバランス保つために、まさしく右往左往している。こんな構図が日本教の世界を形作っているのです。ちなにみに、この構図の数式化は高校物理の「力と仕事」の部門からアプローチすることができます。ここで本の紹介をしますと、実体語・空体語による天秤の世界につてのお話は、イザヤ・ベンダサン著『日本教について』で、つぶさに知ることができます(ただし絶版ですが)。
 いろいろと、長く書いてきましたが、こうやって直言風に書くことで、ぼくのいまの考えをまとめることができます。今回は、いのさんのメールがきっかけで、思わぬ収穫を得ることができました。ありがとうございました。

2003.3.13 記す  


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